立水栓とは、ここでは(洗面)台や洗面陶器などに立てて取り付けるタイプの単水栓(水またはお湯だけの単一水栓)を指します。
各水栓メーカーやそのカタログ、会社や個人などにより呼び方や表記が異なる場合がありますが、一般的には 「立水栓(たちすいせん)」、「立水栓(りっすいせん)」と呼ぶことが一般的です。その他には「立型水栓」「台付水栓」、「デッキ水栓」、の何れかで表記される(呼ばれる)ことが多いようです。
使用場所の代表としては、学校や公共スペースのトイレの手洗いがもっともイメージしやすいのではないでしょうか。その他にはデパートのトイレや飲食店のトイレ、最近では個人の住宅のトイレにも小さな手洗器を付けることが多くなりました。
そんな身近にある「立水栓」について呼称、使用場所、種類と構造、取付け方について考察してみようと思います。
立水栓とは文字通り「(台)に立てる水栓」のことを指します。ここでいう「台」とは手洗器や天板のことを指します。したがって台付単水栓とも言い「台に付ける」「台に立てる」「台に立てた型」の水栓です。“立型水栓”などメーカーや業者によって様々ですが、水栓の形態としては同じです。
手洗器に取付けた立水栓
天板に取付けた立水栓
メーカー | 呼称 | 呼称 (吐水パイプが 回転する製品の場合) |
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TOTO | 立水栓 | 立水栓 |
LIXIL | 立水栓 | 台付自在水栓 |
KVK | 立水栓 | 立形自在水栓 |
カクダイ | 立水栓 | 立形自在水栓 |
SANEI | 立水栓 | 立形自在水栓 |
ミズタニ バルブ |
立水栓 | 立水栓 |
また単水栓には立水栓と、壁や水栓柱など横向きに取付ける“壁付(横型)単水栓”があります。“横水栓”や“横型水栓”とも呼びます。これらも水栓の形態は同じです。“壁付(横型)単水栓”については別の項目で解説します。
例:壁付(横型)単水栓
学校や公共スペースの立水栓
商業施設の立水栓/個人住宅の立水栓
立水栓 には、様々な種類があります。背の高いもの、背の低いもの、吐水パイプがつる首になっているもの、90度レバー式のもの、クロスハンドル式のもの、公園などに設置されている一定時間水が出て自動で水が止まるもの(自閉立水栓)、センサーが反応することで自動で水が出たり止まったりするもの(自動水栓・センサー水栓)、ハンドルと吐水パイプが2つあるもの、カラーめっきのものなど、いろいろな種類の水栓がさまざまなメーカーから発売されています。
吐水・止水方法 | ハンドルを回すと 水が出るスピンドル式 |
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止水の仕組み | コマケレップタイプ |
水栓の種類 |
吐水・止水方法 | ハンドルを回すと 水が出る クォーターハンドル (90度回転) |
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止水の仕組み | 止水バルブタイプ |
水栓の種類 |
吐水・止水方法 | ハンドルを上げる or下げると水が出る | センサーが反応すると水が出る |
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止水の仕組み | カートリッジタイプ | 電磁弁 タイプ |
水栓の種類 |
見た目やハンドルの回転の仕方、止水の仕組みの違いがあっても、これらは全て「立水栓」に分類されます。それは後述で説明する共通点があるためです。
ハンドルが1つ、止水弁が1つある最もオーソドックスな水栓の構造です。
ハンドルが2つ、吐水パイプが2つある水栓を見てみます。この水栓は手前側のハンドルをひねると前方の吐水パイプから水が出て、奥側のハンドルをひねると後方の吐水パイプから水が出る構造です。
自動水栓(センサー水栓)の構造を見てみます。赤外線センサーが感知すると電磁弁が開き、吐水パイプから水が出る構造です。
3種類の水栓の構造を見てみましたが、形状や止水機構に関わらず、立水栓は「給水口を併せ持つ、取付け足(水栓を固定するネジ部)が1本ある水栓」のことです。そして「取付け足」には以下の共通点があります。
※(2)(3)大容量に水を使用する業務用に「G3/4」「G1」が存在します。
※自動水栓(センサー水栓)、浄水器用水栓に例外があります。
したがって、水栓の形状や止水機構が異なっていても「給水口を併せ持つ、取付け足(水栓を固定するネジ部)が1本ある水栓」なので、すべて「立水栓」に分類されます。
立水栓の「取付け足」には①~④までの固定部材(パッキン・ワッシャー・ナット)が取り付いています。それぞれの役割は以下のようになります。
①天板上側パッキン
●防水(天板や手洗器の開口部分への水の侵入防止)●滑り止め(水栓本体の滑り防止)●天板、手洗器への傷付け防止
②天板下側パッキン
●滑り止め(水栓本体の滑り防止)●天板、手洗器への傷付け防止
③ワッシャー
●固定ナットの緩み防止●固定ナット締込みの座面の確保
④固定ナット
●天板、手洗器への固定 ※このナットはG1/2規格です。
蛇口の固定部材(パッキン・ワッシャー・固定ナット)にはそれぞれの役割があります。蛇口を天板や手洗器に取り付ける際、取り付ける順番を間違わないように設置してください。取り付ける順番は上画像のようになります。
洗面所や手洗い場の台下スペースは狭く、レンチのような工具が入れられない場合が多々あります。その場合は狭いスペースでもナットを締め込める「立カラン締め」という工具を使用します。
立水栓用の立カラン締めの多くは対辺24mmと対辺23mmの“2段階”になっています。なぜかというと日本製の立水栓の固定ナットは対辺24mmで、給水ホースのナットは対辺23mmになっているためです。
混合栓の取付けを想定した洗面ボウルやカウンターの水栓取付穴はφ35ミリで開口されています。φ35ミリの穴に単水栓を取り付けようとすると蛇口の取付脚に対して穴が大きすぎ、ぐらついてしっかりと固定することができません。リフォーム等で混合栓から単水栓に取り替える場合などは、「変換パッキン」という部材を使用して穴径を調節します。
【10】その場合は変換パッキンを天板や手洗器の裏側に入れます。
【11】変換パッキンを天板や手洗器の裏側に入れた場合、変換パッキンが天板下側パッキンを兼ねます。
厚みのある天板でも「座ぐり穴」を開口することにより単水栓が取付けられます。
【15】固定ナットを立カラン締めで抑えつつ、吐水パイプを反時計回りに回すと、固定ナットを締め込みが楽になります。 ある程度固定ナットが締め込まれたら、蛇口の角度を決めてを立カラン締めで固定ナットをしっかり締めます。
【16】蛇口の取り付け足に給水ホースを取付けます。今回はフレキシブルに曲げられ、一般の方でも施工しやすいブレードホースを使用します。給水ホースのパッキンの入れ忘れや“よじれ”があるとと水漏れの原因になりますので、パッキンが正しく取付けられているか確認してください。