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「ワンホール混合栓(台付混合栓1穴)」とはキッチンシンク・洗面台や洗面ボウルなどの「台」に立てて取り付けるタイプの混合栓(水とお湯、両方出る混合水栓)のことで、一般住宅や飲食店、商業施設・公共スペースなどで広く使用されており、混合栓として真っ先に思い浮かぶ蛇口の種類です。
天板やシンク、洗面ボウルに取付ける穴が1ヶ所で済み、その他のスペースを広く使えることから混合栓の中では最も日本の住環境に適しており、各メーカーとも豊富な種類を販売しています。
「ワンホール混合栓」という呼称・表記ですが、統一された決まりはなく各水栓メーカーや施工業者・個人などで異なりますが、形状や使い方は同様です。
「ワンホール混合栓」について呼称、使用場所、種類と構造、取付け方について考察してみます。
「台付混合栓(ワンホール混合栓)」という呼称を単語で区切って説明すると蛇口の形状が分かりやすくなります。
つまり(1)(2)(3)の要素をまとめ、その呼称が「台付混合栓(ワンホール混合栓)」となります。
メーカー | キッチン用 | 洗面所用 |
---|---|---|
TOTO | 混合水栓(台付き1穴) | 混合水栓(台付き1穴) |
LIXIL | ワンホール混合栓 混合水栓 キッチン用水栓金具 |
混合水栓 ワンホール混合栓 |
KVK | 混合栓 | 混合栓 |
カクダイ | 混合栓(キッチン1穴) | 混合栓(洗面1ホール) |
SANEI | ワンホールデッキタイプ混合栓 | ワンホール混合栓 |
ミズタニバルブ | 台付混合栓(1穴) | 台付混合栓(1穴) |
一般住宅のキッチン・飲食店の厨房
一般住宅の洗面所・商業施設の洗面所
ワンホール混合栓(台付混合栓)には様々な種類があります。大きな鍋や野菜が洗いやすいようにサイズを大きく設計したキッチンシンク用の混合水栓、洗顔や歯磨きがしやすいサイズに設計した洗面所用の混合水栓などがあります。
水・湯を出す方法も一つのハンドルで吐水止水と水湯が切り替えられるシングルレバーハンドルや、水のハンドルとお湯のハンドルが独立した2ハンドルタイプ、センサーが反応して水が出る自動混合栓(水・湯の切替えは手動)があります。
またゴールドやブロンズなどの色味や、様々な意匠を凝らしたデザイン性の高い台付混合栓が各メーカーから発売されています。
吐水・止水方法 | 吐水ハンドルが蛇口の上部にあり 一つのハンドルで吐水・止水と水・湯が切り替えられるタイプ |
---|---|
止水の仕組み | 止水カートリッジタイプ |
水栓の種類 |
吐水・止水方法 | 吐水ハンドルが蛇口の側部にあり 一つのハンドルで吐水・止水と水・湯が切り替えられるタイプ |
---|---|
止水の仕組み | 止水カートリッジタイプ |
水栓の種類 |
吐水・止水方法 | ハンドルを回すと水・湯が出る クォーターハンドル(90度回転)、2ハンドルタイプ① |
---|---|
止水の仕組み | 止水バルブタイプ |
水栓の種類 |
吐水・止水方法 | ハンドルを回すと水・湯が出る スピンドル式(360度回転)、2ハンドルタイプ② |
---|---|
止水の仕組み | コマケレップタイプ |
水栓の種類 |
吐水・止水方法 | センサーが反応すると水が出る (水・湯の切り替えは手動)自動水栓 |
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止水の仕組み | 電磁弁タイプ |
水栓の種類 |
1つのレバーハンドルで水の出る量と温度を調整します。お湯の最高温度は給湯器の設定温度です。
シングルレバー混合栓(ワンホール混合栓)止水機構の仕組み(例1)
シングルレバー混合栓(ワンホール混合栓)の全体構造(例1)
シングルレバー混合栓(ワンホール混合栓)止水機構の仕組み(例2)
シングルレバー混合栓(ワンホール混合栓)の全体構造(例2)
水側のハンドルとお湯側のハンドルが独立しているタイプの蛇口です。水側のハンドルをひねると水が出て、お湯側のハンドルひねると給湯器で設定した温度のお湯が出ます。ぬるくしたい場合は水側とお湯側のハンドルを両方ひねり、蛇口の中で混合させて適温にします。
ツーハンドル混合栓(ワンホール混合栓)の止水機構の仕組み
ツーハンドル混合栓(ワンホール混合栓)の全体構造
3種類の水栓の構造を見てみましたが、形状や止水機構に関わらず「ワンホール混合栓(台付混合栓1ホールタイプ)」には以下の共通点があります。
したがって下記の水栓はすべて「ワンホール混合栓(台付混合栓)」に分類されます。
ワンホール混合栓の固定部材や取付け足は様々な種類があります。パッキンやワッシャーは円形やU字型などがあり、取付け足も軸棒タイプや円柱形タイプなどがありますが、その用途や役割は同じです。取付け足には①~④までの固定部材(パッキン・ワッシャー・ナット)が取り付いています。それぞれの役割は以下のようになります。
①天板上側パッキン
●防水(天板や洗面ボウルの開口部分への水の侵入防止)●滑り止め(水栓本体の滑り防止)●天板、洗面ボウルへの傷付け防止
②天板下側パッキン(円形やU字など)
●滑り止め(水栓本体の滑り防止)●天板、洗面ボウルへの傷付け防止
③ワッシャー(円形や角型、U字)
●固定ナットの緩み防止●固定ナット締込みの座面の確保
④固定ナット
●天板、手洗器への固定
固定部材(パッキン・ワッシャー・固定ナット)にはそれぞれの役割があるため、天板や手洗器に取り付ける際、取り付ける順番を間違わないように設置してください。取り付ける順番は上画像のようになります。
洗面所や手洗い場の台下スペースは狭く、レンチのような工具が入れられない場合が多々あります。その場合は狭いスペースでもナットを締め込める「締め付け工具」があります。立水栓(台付単水栓)の取り付け・交換で案内した「立カラン締め」と同じ役割をする工具です。
日本メーカー製の場合、固定ナットの六角対辺は13mmまたは38mmがほとんどです。
・取付け足軸棒タイプ→六角対辺13mm(一般的には対辺13mmを採用しています)
・取付け足円柱形タイプ→六角対辺38mm・46mm(サイズの大きい水栓の場合、強度の高い対辺38mm・46mmを採用していることが多いです)
[ 固定ナットの六角対辺 ]
取付け足 タイプ |
六角 対辺 |
TOTO | LIXIL | KVK | カクダイ | SANEI | ミズタニ バルブ |
---|---|---|---|---|---|---|---|
軸棒タイプ |
11 | △ | |||||
13 | ● | ● | ● | ● | ● | ||
14 | ● | ||||||
15 | ● | ||||||
17 | ● | ||||||
19 | ◯ | ||||||
24 | ● | △ |
取付け足 タイプ |
六角 対辺 |
TOTO | LIXIL | KVK | カクダイ | SANEI | ミズタニ バルブ |
---|---|---|---|---|---|---|---|
円柱形タイプ |
28 | △ | |||||
34 | ● | ||||||
36 | ◯ | ◯ | |||||
38 | ◯ | ● | ● | ● | |||
45 | △ | ||||||
46 | △ | △ | ● | ||||
47 | △ |
●多くの機種で使用
◯一定の機種で使用
△ごく一部の機種で使用
【引用資料:株式会社カクダイ 商品:117-062-180】
各メーカーともに水栓をシンクの上面から固定できる「上面施工」ができる商品が増えています。狭いシンクの下に無理な姿勢で潜り込まずに水栓を設置することができ、施工が楽になりました。
【1】蛇口を取り付ける前に止水栓にて2~3分間程度水を流し、水道配管内のゴミを洗い流してから取り付け作業を行ってください。
※詳しくは後述します(取付け直後の水漏れ。ゴミ噛みとは?)。
新築・リフォームの現場に水栓金具を取付けたとき水漏れし、水栓本体の初期不良と誤認するケースが多く見受けられます。
新築・リフォームの場合、床下・壁面に張り巡らされた水道配管内に建築過程による接着剤・防水処理剤・砂などが残ることがあり、そのゴミが水栓本体に流れ込むと止水弁(止水機構)が破損し水漏れの原因になります(ゴミ噛みによる水漏れ)。
水栓を取り付ける前に止水栓にて2~3分間程度水を流し、水道配管内のゴミを洗い流してから取り付け作業を行ってください。
ワンホール混合栓に接続されている給水ホースは専用品なので、他の給水ホースに取替えることができません。給水ホースが短く止水栓に届かない場合、止水栓側を延長する必要があります。延長の方法は次の三通りあります。
① 止水栓に「継手部材」を取付けて給水ホースと接続させる(40mm~50mmまで延長可)
② 止水栓の給水管部分を長いものに変更する(100mm~200mm程度延長可)
③ 平行ニップルを間に取付けて、更に給水ホースを接続する(100mmから相当距離延長可)
壁から給水する「アングル止水栓」の場合は①③の方法で接続させます。
ワンホール混合栓の取付け穴は、円形に1つ穴開けしますが、その穴径は下記の「基本」と「例外」があります。基本の商品が90%以上を占め、例外の商品はごく一部です。
[ 洗面所用ワンホール混合栓の場合 ]
・基本:φ35mmで穴開け
・例外:φ36mm以上で穴開けする例外商品がある
[ キッチン用ワンホール混合栓の場合 ]
・基本:φ35mm~φ38mmで穴開け
・例外:φ39mm以上で穴開けする例外商品がある
【基本】 ほぼ全ての洗面所用ワンホール混合栓の取付け穴は「φ35mm」です。
【例外】 ごく一部ですが洗面所用ワンホール混合栓の取付け穴を「φ36mm以上」をしている製品があります。
【基本】 ほぼ全てのキッチン用ワンホール混合栓の取付け穴は「φ35mm~φ38mm」です。
【例外】 ごく一部ですがキッチン用ワンホール混合栓の取付け穴を「φ39mm以上」にしている製品があります。