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台付4インチタイプ混合栓とは、ここでは(洗面)台や洗面陶器などに立てて取り付けるタイプの混合栓(水とお湯が両方出る蛇口)を指します。「台付4インチタイプ混合栓」という呼称・表記ですが統一された決まりはなく、各水栓メーカーやそのカタログ、会社や個人などにより呼び方や表記が異なりますが、形状や使い方は同様です。
使用場所の代表としては、戸建ての洗面所やミニキッチン、バス用水栓として採用されていることが多くなっています。
また「台付4インチタイプ混合栓」は各メーカーから販売されていますが、デザイン性にこだわった商品と、安価に販売するためにデザイン性を省いた商品があり両極端なのが特徴です。海外メーカーの場合はデザイン性にこだわった商品が多く、日本メーカーの場合が安価で実用性に特化している商品が多い傾向があります。
そんな身近にある「台付4インチタイプ混合栓」について呼称、使用場所、種類と構造、取付け方について考察してみます。
「台付4インチタイプ混合栓」という呼称を単語で区切って説明すると蛇口の形状が分かりやすくなります。
※1インチ=25.4mmなので、4インチ=101.6mm≒102mmとなります。
ただし、下記の表のとおり各メーカーとも「台付4インチタイプ混合栓」という呼称は採用しておらず、メーカーによって呼び方は様々です。後述しますが、このタイプの蛇口は「4インチ・センターセットタイプ混合栓」という呼び方が最も特徴を表しています。
メーカー | キッチン用 | 洗面所用 |
---|---|---|
TOTO | 混合水栓(台付き2穴) | 混合水栓(台付き2穴) |
LIXIL | ツーホールタイプ | ツーホールタイプ |
KVK | 取付穴ピッチ102mm対応/混合栓 混合栓 |
2ツ穴タイプ 混合栓 |
カクダイ | 混合栓(キッチン2穴台付) | 混合栓(洗面)2ホール 混合栓(洗面) |
SANEI | 台付混合栓 | 2ホール混合栓 洗面混合栓 |
ミズタニバルブ | 混合栓 | 混合栓(2穴) 混合栓(取付けピッチ102mm) |
「台付4インチタイプ混合栓」の4インチ(102mm)とは、給水口を併せ持つ水と湯の取り付け足の芯~芯の間隔を指します。
※1インチ=25.4mm、4インチ=101.6mm≒102mm
※メーカーによっては4インチ=101.6mmの端数を省いて100mmや、小数点を省いて101mmと表記する場合があります。
ミニキッチンのステンレスシンクに取付けた
台付4インチタイプ混合栓
※資料引用:株式会社カクダイ(蛇口:スワンムーブシャワー付き 2ハンドル混合栓 4インチタイプ 151-013)
洗面所の天板に取付けた台付4インチタイプ混合栓
(セット商品:【Matilda】4インチ混合栓アルティメット・ハーデン×【St.thomas】洗面ボウルセット AHISET149)
台付4インチタイプ混合栓には、様々な種類がありますが、大きく分けて意匠性にこだわったデザイン性の高いタイプ、実用性に特化した安価な商品に分けられます。またハンドルもシングルレバーと2ハンドルのどちらかに分けられます。
意匠性や止水機構など異なる部分はありますが、台付4インチタイプ混合栓には次のような構造・特徴・共通点をがあります。
【PICKLES/ピクルス】2ハンドル混合栓(4インチタイプ) PK-F415
形状や止水機構に関わらず、「台付4インチタイプ混合栓」には以下の共通点があります。
従って、下記の蛇口は全て台付4インチタイプ混合栓(4インチ・センターセットタイプ混合栓)に分類されます。
【KOHLER】ペニントン オーバル洗面器(3ホール・4インチタイプ)K-2196-4
洗面ボウルには水栓金具を設置するための穴間隔の規格があります。穴間隔は大きく分けて2種類の規格があります。
・ 3ホール/4インチ・センターセットタイプ
・ 3ホール/8インチ・センターセットタイプ ※台付8インチタイプ混合栓で説明します。
「3ホール/4インチ・センターセットタイプ洗面ボウル」には次の決まりがあります。
※(2)(3)はポップアップ排水金具の引き棒を通す穴がない「2ホール/4インチタイプ」があります。
従って「3ホール/4インチ・センターセットタイプ洗面ボウル」に取付けられる蛇口は「4インチ・センターセットタイプ混合栓」ということになり、その呼び方が特徴や形状、仕様を最も表しています。
4インチ・センターセットタイプ混合栓の取付け足は外径φ20.955mmなので、天板やシンクに穴開けする場合、穴間隔が102mmでφ25(±3)mmで穴開けします。またポップアップ排水金具の引き棒がある場合、引き棒が通る位置にφ6~25mmで穴開けし、「3ホール/4インチ・センターセットタイプ」にします。
※ポップアップ排水金具の引き棒がない場合は穴開けしません。
【Matilda】アルティメット・ハーデン(ブロンズ) MA500L4-ORB
台付4インチタイプ混合栓の「取付け足」には①~④までの固定部材(パッキン・ワッシャー・ナット)が取り付いています。それぞれの役割は以下のようになります。
①台座パッキン(台座プレート):
●防水(天板や手洗器の開口部分への水の侵入防止)●滑り止め(水栓本体の滑り防止)、●天板、洗面ボウルへの傷付け防止
②天板下側パッキン:
●滑り止め(水栓本体の滑り防止)●天板、洗面ボウルへの傷付け防止
③ワッシャー:
●固定ナットの緩み防止、●固定ナット締込みの座面の確保
④固定ナット:
●天板、手洗器への固定 ※このナットはG1/2規格です。
また、取付け足と止水栓を接続する給水ホースの規格はG1/2となります。
【5】固定ナットを工具を使用して締め込んで固定します。この作業の時、カウンター(洗面ボウル)下が非常に狭く、工具(モンキーレンチなど)が横向きに入らない場合があります。そのようなときは「立カラン締め」という工具を使用します。
この洗面シンクは水栓取付け穴φ27mm、水栓取付け穴間隔102mm、ポップアップ引き棒用穴φ7mmの「3ホール/4インチ・センターセットタイプ」の洗面シンクです。
※今回取り付ける水栓はポップアップ排水金具に対応していないので、ポップアップ引き棒用穴は使用しません。
【4】蛇口の取り付け足に給水ホースを取付けます。今回はフレキシブルに曲げられ、一般の方でも施工しやすいブレードホースを使用します。
給水ホースのパッキンの入れ忘れや“よじれ”があるとと水漏れの原因になりますので、パッキンが正しく取付けられているか確認してください。
「3ホール/4インチ・センターセットタイプ洗面ボウル」に4インチタイプ混合栓を取り付ける場合、水栓の取り付け位置を前後させることが出来ます。 【Matilda】アルティメット・ハーデン×【KOHLER】ブライアント洗面ボウル 上部排水ユニット3点セット AHISET129-Uを例に説明します。
・洗面ボウルの水栓取付け穴の外径φ32mm
・水栓取付け足の外径φ21mm (正確にはφ20.955mm)
水栓取付け穴の外径φ32mmに対し水栓取付け足の外径φ21mmなので、11mm前と後にずらして取り付けることが出来ます。この11mmの差は数字以上に感覚的な差がありますので、設置の際に水栓取付け穴の最前部・中央・最後部のどこに取り付けるか確かめた方がいいでしょう。
吐水パイプが短い蛇口の場合、水栓取付け穴の最前部に取り付けた方が洗顔がしやすくなります。
【Matilda】アルティメット・ハーデン×【KOHLER】ブライアント洗面ボウル 上部排水ユニット3点セット AHISET129-Uの場合、蛇口の吐水パイプが長いので最前部に取り付けるよりも、中央から最後部に取り付けた方がバランスが良くなります。